6月の北海道「函館大沼」が最高だった【プリンスホテル】

個人的にも今回の旅行は別格です。

というのも、幼い頃に行った初めての旅行がこの函館大沼であり、自分の中でとても印象強く残っている場所なのです。

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6月の函館大沼

いわば原風景と言える場所であり、心の奥底にある記憶と、目の前との現実とをすり合わせる旅行となることでしょう。

季節は6月。

梅雨のない北海道は6月でも雨(および雪)が少ない季節であり、涼やかなそよ風を感じることを期待して旅立ちました。

大沼国定公園

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大沼国定公園

函館空港から車で1時間ほど。

北海道駒ヶ岳の裾野に広がるこの周辺は「大沼国定公園」と指定されている場所であり、その美しさから「日本新三景」にも選ばれています。

特徴は大沼に浮かぶいくつもの小島群であり、その数は120にも達します。

小島群は密集しているため、その間は水路のように入り組んでいて、場所によっては小さな隠れた沼があるような風景となっているのです。

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大沼に浮かぶ小島

まるで南国のマングローブ林のようであり、その水路をボートで進んでいったり、島々の遊歩道を歩くだけでもおもしろく、心地良い時間が過ごせるのです。

大沼の周囲は25kmほどと湖ほど大きくなく適度な大きさです。

観光客はそれなりにいる(特に中国韓国からの来日客が大半を占める)ものの、首都圏の周りとは人も車も数が基本的に違う。主要な観光スポットを外れると人も少なく混み合うということはありません。のんびりとした時間が流れ、静かに風景を楽しめるのです。

雄大な風景を馬で進む

大沼国定公園の象徴は北海道駒ヶ岳

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大沼国定公園と駒ケ岳

標高は1100mほどの低めの山であるが、なだらかな裾野が広がりゆったりとしている。モネの絵のような大沼の湖水に、この駒ケ岳の背景を加えることで一つの完成された絵画となるのです。

そしてこの駒ケ岳は現在進行系の活火山です。火口部周辺は入山規制されていて、頂上には立ち入ることが出来ません。しかしそのお陰で、周辺の広い範囲に渡って人家は少なく、少し上に上がるだけで荒涼とした風景に出会えるのです。

ここでは馬に乗りました。

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駒ヶ岳で馬に乗る

本格的に「馬に乗る」という経験は初めてだったのですが、ここでの乗馬は本当に楽しかった。周りに人が居ない広大な低木地帯を背の高い馬に乗って進むのは、まるで西部開拓時代の荒涼とした大地をひたすらに進む開拓民の気分でした。

駒ヶ岳森林限界はわずか標高300mとされているため、少し高度を上げるだけで背の高い樹木は姿を消しナナカマドなどの灌木が中心となります。足元は火山灰であり、馬が歩を進める度に砂煙が立つ。時々キタキツネがあぜ道にひょっこりと顔を出し、森の中からはカッコウの鳴き声が響いている。

そうした風景の中を、大人しく調教された馬に乗ってゆったりと進むのは本当に素晴らしい時間でした。東京に戻ってきても度々思い出すのですが、ビルに囲まれた今の目の前こそが幻で事あるごとに戻りたくなるような、心の底にしっかりとしまわれた経験でした。

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すごく良かったです

「馬に乗る」ということを技術面から考えると、初めてでもまあ何とかやっていけるかなという感想でした。(最初はどうなることやらと思いましたが、、。)

馬も犬と同じく、人のことを見ています。

こいつなら大丈夫だろうという思いが強くなると度々「道草を食う」という行為に走ります。「手綱を握る」ことをしっかりとするのが大切で、進む方向であったり、進むスピード、道草を食うこと(禁止事項)を人の方が手綱を握って調整するのです。

ただ、犬(特にジャーマン・シェパード)が速効性のある戦闘機やスポーツカーのような動きをするのに対し、馬はゆったりとした大型の客船のような動きでした。

コツは目の前の5m先を見ながら、馬がとるであろう行動を予め予期すること。

急に動かそうと思ってもダメで、ゆったりと手綱を調整するのが大切で、そのために進む道とその時の馬の動きを予測する必要があるのです。

自分が向かいたい方向があれば余裕を持って手綱を引く必要があるし、段差があればそれを避けるような方向へと誘導する。興味を抱くような草があれば手綱に緊張を与えておく必要があります。馬にただ乗せてもらうのではなく、人の方が周りを見渡し、絶えず頭を働かせておく必要があるのです。そういう事をずっと繰り返しながら、信頼感を深めていく。言わば相互理解の深化です。乗り手が馬のことを理解し、馬も乗り手のことを理解する。最短コースのたった90分のことだったけど、最初に比べると少しは馬のことを理解出来るようになったかなと思います。

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ぜひまた行きたい

本当に素晴らしい時間でした。

爽やかな風の大沼プリンス

今回の旅の主目的が「函館大沼プリンスホテル」への宿泊でした。

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函館大沼プリンスホテルに泊まる

昔に泊まったのもこのホテルです。広い広葉樹の森の敷地の所々に大小の池沼があり、緩やかな丘の間を曲がりくねった遊歩道が続いています。

記憶の中では晩秋の落ち葉が小道を埋め尽くすような景色でしたが、今回訪れたのは6月です。

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ホテルの敷地を散歩する

晴れた朝。朝食の前にゆったりとした気分で、緑に包まれた森の中を散歩するのは気持ち良く、架けられたハンモックに寝転んで目をつぶると爽やかな風が通り抜けて行きました。

車の音もせず、人の話し声も聞こえず、ただ聞こえるのは小鳥の囀りと、微かな風で揺れる樹々の音だけ。こういった静かで穏やかな時間を過ごすには最適の場所なのです。

施設は年季が入りつつありますが、若い人よりも年配の人が多くて落ち着いています。夜の遅くになると中韓からのバスツアー客の皆さんが到着して、喧しい感じになりますが、食事も風呂もその前に終わって部屋に籠もっているので問題ないです。

翌朝も皆さんは観光地のスポット数を増やすために朝の早くに出発してしまい、部屋から出た頃には元の静かなホテルへと戻ってました。

基本的なチェックアウト時間が12時でありますし、敷地内にはホテルのブレッドが売っているパン工房もあります。プリンスホテルのブランドではありますが、街なかの高級ホテルに比べると価格も抑えられています。

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函館大沼プリンスホテルのレストラン

何日かここに滞在して、観光にアクティビティ、そして昼寝を楽しむにはもってこいです。

北海道新幹線が開通し、終点の新函館北斗駅からも大沼周辺は行きやすい場所になりました。

6月北海道は素晴らしく、気持ちの良い旅行となりました。

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ローカル線で函館へ向かう

唯一の心残りは、6月1日に解禁された真イカ(スルメイカ)をほとんど食べなかったこと。今度は心置きなくイカを食べるぞと心に誓っております。

つづいて大沼から函館の市街地へと向かいました。